鴨志田歯科医院 鴨志田 義功 院長 (YOSHINORI KAMOSHIDA)
鶴見大学歯学部を卒業の後、鶴見大学歯学部大学院を修了(歯学博士)
1984年5月8日 鴨志田歯科医院を開業。院長に就任。現在に至る。
鶴見大学歯学部臨床教授、歯科衛生士学校講師を兼任。
両親の熱い思いを受け、地域のみなさまのために

のどかな四季折々の風吹く、ここ鶴見で両親は教育者として地元の子ども達に知識の糧を授けていました。
特に小学校の校長を勤めていた父は、知識は身を助け、技術は人を救う、と説き、先祖代々暮らしている、この地域のみなさまのお役に立てるように、と繰り返し話していました。
江ヶ崎町にまだ一軒の歯科医院もなかった時代。ときの巡り合わせなのでしょうか。わたしが進学を志す時期と同じくして、地元の大学に歯学部が創設されたのです。遠くまで足を運ばねば通えなかった、歯科医院。痛みや苦しみの中、それがとてつもなく重い負担であることは、わたし自身も痛感していました。
地域のみなさまのお役にたち、健康を守る一端を担う。そして、みなさまと共に生きるよう…。
わたしは、そうして歯科医師として進むことを決意したのです。それから40数年経ったいまでも、初めてエアタービンを握った緊張感を忘れたことはありません。
「痛くなる前」にできること
学べるときに学べ、というスタンスだった両親は、6年間の大学生活を終えた後、更に4年間大学院歯学研究科で学ぶ機会を与えてくれました。そこで、わたしは悪くなった歯を治療することも大切だけれど、そうならないためにはどうするべきなのか、と考え「予防歯科学」を専攻したのです。
半世紀ほど前の日本では、歯科医院は「痛くなってから」行く、という認識が絶対的でした。う歯(虫歯)になったら削り、詰め物を入れる。更に悪化したら神経を取り、抜歯し、最終的には義歯(入れ歯)という対処療法が圧倒的多数だったのです。
食生活は豊かになる一方、ブラッシング指導やフッ素を塗布するという考え…つまり虫歯を「予防」する知識は「家庭の医学」より他に頼る以外ありませんでした。
痛くなったら、悪くなったら(歯科医院に)来なさい、というのはご存じの通り「予防」ではありません。その重要性が厚生労働省から通達されたのが、平成になった1989年。
ようやく「8020運動」というスローガンが掲げられたのです。
歯が痛くなる前に、どうするべきか。80歳になっても20本の歯を維持するためには、何が必要なのか。
学び、実体験したことを伝え、話し続けて、現在では医院でも6割くらいの理解を得られるようになりました。「痛くなる前」、「不都合が出る前に来る」。もちろん歯科医師は、痛いところや悪い箇所を治療しますが、そうなる前にも出来ること、やるべきことがあるのです。そのことを、これからも言い続ける必要性があると、考えています。
予防歯科と、後世のために

地域のみなさまと共に歩んできた「鴨志田歯科医院」は、一般歯科を診療しておりますが、特に予防歯科と後進の指導に力を賭しています。予防歯科とは、う歯(虫歯)や歯周病など違和感や痛みが出る前、事前に行う処置を指します。例えば風邪を引く前に病院へは行きませんが、歯に関しては病院(歯科医院)で予防が出来るのです。予防すれば、痛い思いもしなくて済むし、時間もお金も掛からない。
歯もキレイにしなければ、という意識をきちんと持ち、歯石や歯垢を取るためのスケーリングやPMTC、歯茎の検査を(症状がなくても)受診いただくのが基本的に良いのではないか、と私は思っています。
異変を見つける前に、違和感を感じる前でも、病院(歯科医)へ行く、という考えを持つことが、「勝る物のない自分の歯を守る」、最良の方法だと思います。
ご来院いただいた患者さま、おひとりお一人と真剣に対峙して、およそ半世紀近く。諸先輩方からのご指導はもちろん、患者さまから学びを得たことも多くあります。そんなたくさんの「財産」を、後進に伝えることも、わたしの役割のひとつだと考えています。
厚生労働所指定の臨床研修施設として歯科医師を、歯科衛生士養成校と神奈川県の承認を受け、歯科衛生士の臨床研修を当院で行っているのは、次の時代の進歩のために、ノウハウと蓄積したことを伝えないとならない、とわたしが切に感じているからです。
「歯周病」から始まる、こんなに恐ろしい疾患
さて、「予防」出来なかったばかりに健康を損ねてしまう例を挙げましょう。
虫歯を放っておいたからといって、どのような病気になると言うの?そのような疑問を感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、頭、口、腹部、手や足…人間の身体はひとつに繋がっているのです。つまり、口腔内で発生した疾患や病毒(ウイルス)は、血液を通して全身を巡るのです。そのスピードたるや5リットルの血液は、1分30秒で全身を回ります。口腔内の疾患を「予防」出来なかったばかりに、引き起こしてしまうかも知れない疾患を紹介してみましょう。例えば30代以降の約8割の人が罹患している「歯周病」。
歯周病は、歯垢や歯石に存在する歯周病菌が、歯茎を攻撃することで生じる炎症です。この炎症によって作られる毒性物質が、歯茎の血管から入り込み全身に広がることで、さまざまな病気を引き起こすことは、ご存じの方も多いでしょう。歯周病が引き起こす病気は、心臓病、糖尿病、肺炎、狭心症・心筋梗塞、脳梗塞、メタボリックシンドローム、早産・低体重出産、バージャー病、骨粗鬆症…などたくさんあります。健康な大人の口の中でも、1000種類ほどの細菌が生息しています。唾液や細菌のバランスが保たれた(口腔内の)状態がベストなのですが、その環境は様々な要因によって崩れてしまうことがあります。生活習慣や食生活、睡眠、ストレスなどの要因によって変化をきたしてしまう口腔内環境。歯周病は、誰にでも可能性のある病状なのです。痛みはなくとも、じわじわと忍び寄る、この病原菌に対して、医師と歯科医師とが連携して、立ち向かう必要があるのかもしれません。
ご高齢のみなさまにも、口腔内指導を
治安が良く豊かで暮らしやすいこの国では、65歳以上の人口が社会全体の約30%(約3619万人)を占め、うち半分以上(約2080万人)の方が75歳以上のご長寿のみなさまです。その中で要介護・要支援の認定者は約720万人と言われており、多いと言われている歯科医師(歯科医院)は実のところ減少傾向にあって、約6万5700軒(2025年10月末時点)というさまです。これに一般の患者さまもいらっしゃいますから、歯科医師ひとり当たりが担当しなければならない患者さまがいかに多いかご想像いただけることでしょう。口内に疾患を抱えるリスクは、年齢を重ねるごとに増え、口腔機能の衰え(オーラルフレイル)は、単純に食べづらくなるというだけではなく、全身の健康や生活の質(QOL)に直結し、低栄養、筋力の低下から、誤嚥性肺炎のリスクが高まったり、認知症のリスクが増えるというデーターもあります。
往診や訪問診療の必要性はもちろんですが、高齢者が入居している施設やデイサービスをご利用のみなさまにも、咀嚼嚥下の理解と重要性ならびにオーラルフレイルへの理解を深めていくために、歯科医師、歯科衛生士との連携をより強固なものにし、口腔内のトレーニング(喉の筋肉を鍛える・舌と口周りの動きをスムーズにパタカラ体操・唾液腺マッサージなど)を伝えて行かなければならないと切に考えています。
実際に資格(ケアマネージャー)を取得し、介護の現場を経験したからこそ得た知識を、これから先のために活かして、地域のみなさまと共にある鴨志田歯科医院でありたいと願っています。
※上記記事は2026年1月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

鴨志田歯科医院 鴨志田 義功 院長 (YOSHINORI KAMOSHIDA)
鴨志田歯科医院 鴨志田 義功 院長 (YOSHINORI KAMOSHIDA)
- 出身地:横浜市鶴見区出身
- 趣味:株式投資、楽器演奏(トロンボーンとフルート)
- 好きな映画:刑事もの
- 好きな音楽:ボサノバ
- 好きな場所:温泉
- 好きな本:百田尚樹さんの「プリズム」、「永遠の0」

