片山 徹 院長(TOWN訪問診療所 横浜院)のインタビュー

TOWN訪問診療所 横浜院 片山 徹 院長

TOWN訪問診療所 横浜院 片山 徹 院長 (TORU KATAYAMA)

九州大学医学部 卒業。公立学校共済組合九州中央病院 臨床研修医を経て小倉記念病院 循環器内科に在籍。 JCHO神戸中央病院 循環器内科 医長、 心臓血管センター長を歴任。 医療法人社団心愛会 TOWN訪問診療所 昭島本院 副院長を務めたのち、 2023年4月に『TOWN訪問診療所 横浜院』院長に就任(横浜市営地下鉄ブルーライン「センター北駅」より徒歩2分)。

循環器内科の専門性を深める中で、在宅医療の必要性を強く感じて

私が医師を志した原点は、9歳のときに母を病で亡くした経験にあります。大切な人を失う悲しみと向き合った幼少期、その時はまだ自分が医師になるとは想像もしていませんでしたが、人の命に関わる仕事への思いは自然と心に芽生えていました。叔父が医師をしていたこともあり、進路を考える中で「人の助けになる仕事を」と思い、気づけば医師を目指す道を歩んでいました。
九州大学医学部を卒業後、福岡市内の病院で初期研修を行い、卒後3年目からは心臓カテーテル治療で全国的にも知られる小倉記念病院循環器内科に勤務。心臓や血管の病気は命に直結します。研修医の時に経験した緊急カテーテルでの救命や心肺蘇生の現場で、治療の手ごたえとやりがいを強く感じました。内科でありながら高度な手技を駆使し、患者さんを直接救うことができる循環器内科の魅力に惹かれ、専門性を深めていったのです。
その後、地元である兵庫県に戻り、JCHO神戸中央病院で循環器内科医長・心臓血管センター長を務めました。勤務医として充実した日々を過ごす一方、循環器の患者さんが退院後のケア不足から再入院してしまう現状や、自宅近くで適切な医療を受けられない方が多いことを痛感し、その頃から在宅医療の必要性を強く感じるようになりました。そんな折、小倉記念病院時代の後輩から、関東で在宅医療を行うクリニックの話を聞きました。そして『TOWN訪問診療所 昭島本院』で在宅医療を学んだのち、2023年4月に『TOWN訪問診療所 横浜院』の院長に就任しました。

在宅医療で支える患者さんの暮らし

当院は、通院が難しい患者さんを中心に、横浜市や川崎市をはじめとする幅広いエリアで訪問診療を行っています。多いのは、足腰の衰えや心不全で身動きが取りにくい方、足の壊疽や褥瘡(床ずれ)などの傷を抱えておられる方々などです。最近では紹介や口コミを通じ、心臓と足の両方のケアが必要な患者さん、そしてがんの患者さんへの緩和医療のご依頼も増えてきました。
私が循環器内科出身ということもあり、心臓疾患を抱える方の診療にはもちろん力を入れておりますし、当院のもう1つの大きな特色として、フットケアや褥瘡の治療があります。特に足の壊疽は、対応できる医療機関が非常に限られています。病院でも対応が難しい場合が多く、在宅で専門的に診られる医師はさらに少ないというのが現状です。在宅であっても、その人らしい暮らしを続けられるよう、必要な医療を届けることが私たちの使命と考えています。

専門性を生かしたフットケアと褥瘡治療

例えば、巻き爪ひとつとっても、適切な治療が受けられず、痛みで歩行困難になり家で衰弱してしまう患者さんもいます。我々の治療により長年の苦痛から解放されると「家でこんな治療が受けられるなんて!」と大変感謝していただけることも多いです。
また、壊疽とは、糖尿病や動脈硬化などで血流が悪化し、組織が壊死してしまう状態です。血流がなければ傷は治りませんので、まずは病院でカテーテル治療などにより血流を改善し、そのうえで傷の処置を行います。壊疽の進行度によっては切断が必要になる場合もありますが、その後の断端部のケアや、潰瘍段階での治療が重要となります。
在宅では、現実的にはひとりの患者さんに毎日医師が訪問することは困難であるため、訪問看護師やご家族と連携しながら、洗浄・軟膏塗布・壊死組織の除去などを適切な頻度で行っていくことになります。感染の兆候があれば抗生剤を使用するなど、傷の状態に応じて専門的な処置を随時行っていきます。
褥瘡に関しても、地域のクリニックや施設で治らなかったケースをご紹介いただくことがあります。当院は理事長が形成外科出身で、月2回、当院での診療にも参加しており、困難な症例もチームで対応できる体制が整っています。こうした専門性と連携により、病院から在宅へのスムーズな移行、そして患者さんの生活の質向上に貢献しています。

地域に根ざした在宅医療の体制づくり

旭区や瀬谷区、川崎市多摩区、大和市など、少し距離のある地域からの依頼にも可能な限り対応しています。患者さんの中には、病院で長期間治療を受けながらも退院先が見つからない方や、施設での受け入れが難しい方も少なくありません。その受け皿となることが、私たちの重要な役割だと考えています。
在宅医療は医師一人では完結できるものではありません。訪問看護師やケアマネジャー、施設スタッフ、ご家族など、多職種が一丸となって患者さんを支える必要があります。当院では勉強会や診療レポートなどでの定期的な情報共有や迅速な対応を心がけ、医療と生活の両面からサポートする仕組みを整えています。こうした体制づくりは、一朝一夕でできるものではありません。地域との信頼関係を築きながら、必要とされる医療を確実に届けられるよう、日々の診療にあたっています。

地域のみなさんへメッセージ

医療の形は一人ひとり異なり、正解は1つではありません。在宅医療には、病院とはまた違った「生活の中での医療」の視点が求められます。患者さんが少しでも安心して暮らせるよう、そしてご家族が笑顔で暮らしていけるよう、真摯に向き合ってまいります。
病気や加齢によって生活が制限されても、その人らしい時間を過ごすことは十分に可能です。その実現のために、これまでの循環器内科医としての経験と、在宅医療で培った知識・技術を総動員してサポートします。
「通院できないから仕方ない」と諦めるのではなく、「家にいながら診療を受けられる」という選択肢をもっと多くの方に知っていただきたいと思います。地域の皆さまの安心の拠点として、これからも丁寧な診療を続けてまいります。

 

※上記記事は2025年7月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

TOWN訪問診療所 横浜院 片山 徹 院長 (TORU KATAYAMA)

TOWN訪問診療所 横浜院 片山 徹 院長 (TORU KATAYAMA)

  • 出身地:兵庫県
  • 趣味・特技:ジムワーク/バスケットボール
  • 好きな本:アルジャーノンに花束を
  • 好きな映画:『ビッグ・フィッシュ』『青天の霹靂』
  • 好きなアーティスト:RADWIMPS、ケツメイシ
  • 好きな観光地:パラオ、ハワイ
  • 好きな言葉:「成功の反対は失敗ではなく挑戦しないこと」

INFORMATION

電話 045-910-1221
所在地中川中央1-29-24 アビテノール2-C号室
最寄駅センター北駅 徒歩3分、センター南駅 約1.3km、中川駅 約1.6km
診療時間9:00~17:00
休診日日曜日・祝日
診療科目 内科 循環器内科 形成外科 皮膚科 訪問診療 循環器科