日吉本町サンラインこどもクリニック 栗屋 敬之 院長 (TAKAYUKI KURIYA)
国立宮崎医科大学医学部 卒業。順天堂医院、順天堂浦安病院 研修、山梨県立中央病院 小児科、日野市立病院 小児科、都立豊島病院 小児科、東京都保健医療公社(旧都立)豊島病院 小児科医長を経て、2025年9月に『日吉本町サンラインこどもクリニック』を開院(横浜市営地下鉄グリーンライン「日吉本町駅」より徒歩2分)。
自らの経験を昇華し、人を助けることのできる道へ
小学校一年生の頃、大きな怪我を負いました。木登りの延長で電柱に登ったところ、誤って電線に触れて感電し、地面へ落下したのです。右足の複雑骨折、頭部の電撃傷……幼い身にはあまりに大きな出来事でした。それから長い期間にわたり、複数回の入院治療を受けました。
治療では、担当の先生方は懸命に治療してくださったと思います。しかし当時の私にとっては、治療は「ありがたい」よりも「辛い」という思いが強い状況でした。当時、受けた治療は骨延長術というもので、骨を切り、器具で少しずつ伸ばしていくものだったので、痛みを常に伴うものだったためです。
以上の経緯から、「医療」というものに対して複雑な気持ちを抱え、むしろしばらくは医療の道を避けたいと思っていました。しかし、高校時代の友人との会話や、身近な人の言葉に後押しされる形で、自分の経験をあらためて見つめ直し、苦しんだからこそ、その世界で誰かの力になれるかもしれない。そう思えるまでになり、医師を志す決意が生まれたのだと思います。

大学卒業後は小児科に入局し、様々な病院に勤務医として関わるようになりました。そして都筑区で開業し、10年診療したのち、港北区・日吉本町に移り、この地で新たなスタートを切ることになったのです。
地域の子どもたちを支えるために
私が大切にしていることは、まず「基本的なことを丁寧に伝える」という姿勢です。熱が続く場合、どのタイミングで医療機関を受診すべきなのか。家庭での観察ポイントはどこなのか。こうした基本的な情報について、保護者や御家族が適切な知識を持てるように支えていくことが、小児科医としての大切な役割と考えています。
子どもたちは、自分の状態をうまく言葉で表現できません。泣く、ぐずる、元気がない、食べられない……そんな変化から読み取る部分が多く、診察では「子ども本人」と同じくらい「親御さんのお話」を丁寧に伺うことを大切にしています。小児科は、子どもと家族の医療です。親御さんが不安のまま帰ることのないよう、できる限りわかりやすい言葉で説明し、納得していただくことを心がけています。
小児科医としての役割 ― 医療の流れをつなぐ存在として
クリニック、総合病院、大学病院、公立病院、それぞれに異なる役割があります。病院は難病治療、高度治療、救急医療、研究を担っています。一方で、私たち地域の開業医は、日々の生活に最も近い医療を担っています。
体調の変化を最初に相談する場として、クリニックは欠かせません。熱がある、咳が続く、食欲がない……。その背景に大きな病気が隠れていることもあれば、シンプルに治っていくこともあります。その見極めこそが、開業医の重要な役割と考えています。

私は自らの経験から、後遺症を残すような病気や怪我の「背景」にも自然と目が向くようになりました。症状を診るだけでなく、その子の普段の生活、体質、家族環境など、広い視点で評価することが小児診療では欠かせません。必要に応じて連携する病院へつなぎ、逆に高度な治療を受けた後のフォローを地域で担う。その循環が、子どもたちの安心につながると考えています。
あらゆるものを総合的に診ていく
小児科医は、子どもを総合的に診るジェネラリストでなければなりません。発熱や咳などの急性症状だけでなく、アレルギーや皮膚症状、成長や発達の相談まで、子どもに関わるあらゆる問題を幅広く受け止める必要があります。とくにアレルギーは、食物・皮膚・呼吸器など領域が多岐にわたるため、日常のケアから専門医へのつなぎ方まで、適切な判断が求められます。
あらゆる不調を気軽に相談できる場所であること。そのうえで、必要な検査や専門的治療は速やかに病院につないでいく。地域の小児科として、日常の小さな変化から専門領域の入り口まで、親御さんと一緒に歩んでいく――その積み重ねが、子どもたちの健やかな成長につながると信じています。
地域のみなさんへメッセージ
私は自分の幼少期の経験から、医療に対して複雑な気持ちを持った時期もありました。しかし今こうして小児科医として働く中で、子どもたちが元気を取り戻し、親御さんが安心して帰られる姿を見るたび、この道を選んで良かったと感じます。地域の一員として、子どもたちの健康と成長を見守りながら、皆さんとともに歩んでいければと思っています。
※上記記事は2025年11月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

日吉本町サンラインこどもクリニック 栗屋 敬之 院長 (TAKAYUKI KURIYA)
日吉本町サンラインこどもクリニック 栗屋 敬之 院長 (TAKAYUKI KURIYA)
- 出身地:宮崎県
- 趣味:音楽鑑賞、アウトドア
- 好きな本:『レ・ミゼラブル』(ヴィクトル•ユーゴー)、『恩讐の彼方に』(菊池寛)
- 好きな映画:『シックス・センス』、『サウンド・オブ・ミュージック』
- 好きなアーティスト:藤井風、米津玄師、ONE OK ROCK、Tani Yuuki 、milet
- 好きな場所:上高地、屋久島、嵐山(京都)、エディンバラ(スコットランド)、ウィーン(オーストリア)
- 座右の銘:「一期一会」、「求めよ、さらば与えられん。尋ねよ、さらば見出さん。叩けよ、さらば開かれん」

