竹世寿司 山室 貴嗣 代表 (TAKATSUGU YAMAMURO)
高校卒業後、生家である竹世寿司で修行をはじめる。その後2013年より代替わりして3代目代表へ。(相鉄線和田町駅 徒歩3分)
子どもの頃から夢見た寿司職人への道のり

私の寿司職人としての原点は、子どもの頃の純粋な「好き」という気持ちでした。物心ついた頃から「寿司屋になりたい」と言っていたそうで、両親もよく覚えています。そのきっかけは単純で、とにかくお寿司を食べることが大好きだったんです(笑)。父もいくらでも食べさせてくれてまして、本当に食べたいだけ食べさせてくれていました。好きなネタと貫数を紙に描いて、食べたいものを渡すと父が作ってくれる。そんな環境で育ったからこそ、自然と寿司職人への憧れが強くなったのだと思います。実は高校卒業前からお店の手伝いをしており、卒業と同時に本格的に仕事として始めました。特にイメージとのギャップを感じることもなく、スムーズに職人の道を歩み始めることができました。ただ面白いことに、最近は昔ほど寿司を食べなくなりましたね。味見はしますが、商品として扱っている意識が強くなったからでしょうか。それでも美味しそうに召し上がるお客さんを見ていると、たまにはカウンターに座って、お客様のように寿司を食べたいなと思うことがあります。
三代に渡る歴史と「竹世」の名前に込められた想い
私は三代目として、祖父から続く店を受け継いでいます。2013年に父から正式に引き継ぎを受けましたが、今でも父は元気で手伝いをしてくれています。最近はつけ場にこそ立ちませんが、一緒に仕事をしています。お客様からは「親子で仕事をするのはどんな感じですか?」とよく聞かれますが、私としてはそんなに難しく考えているわけではありません。「仲がいいんだね」と言われることもありますが、特別仲が良いという意識もありません。ただ、一日中一緒にいるので、仲が悪かったらやっていられない、という感じですね。厳しい師弟関係というよりは、趣味の話もできるフラットな関係だと思います。店名の「竹世」には興味深い由来があります。昭和29年に祖父が横浜でお店を始める前、東京の目白で寿司職人をしていました。そこは蕎麦屋さんの隣に出来た蕎麦屋さんが出資した寿司店で、祖父は板長のような立場でした。最初は「笹寿司」という名前になる予定でしたが、そこに立ち寄った易者さんが「笹は茂るが細いし根を張らない。笹という字を2つに分けて『竹』と『世』にした方が太く根もしっかり張り、繁栄するのではないか」と提案し、「竹世」という名前が誕生したのです。そして祖父が独立する際、前のオーナーさんからこの「竹世」という名前を使ってくれないか?とおっしゃっていただき今の『竹代寿司』が誕生いたしました。
寿司一筋のこだわりとお客様への想い

私が働く上で最も心がけていることは、ブレずに寿司一本でやっていくことです。寿司屋なのにうなぎや天ぷら、時にはラーメンを出すお店もありますが、そのようなことはしません。お客様から「焼き魚がほしい」といった要望があってもお断りしています。一本筋を通して、ブレずに継続していくことが最も大切だと考えています。カウンター越しの寿司屋では、お客様の反応がダイレクトに伝わってきます。お客様に喜んでいただけると、本当にエネルギーになりますね。食べた瞬間の表情や反応が、日頃の活力の源となっています。せっかく来ていただいたお客様には、気持ち良く帰っていただきたいという想いがあります。お店には常連さんが多いのですが、そのような中に初めてのお客様が入って来ると、気後れしてしまうこともあるでしょう。そのため、初めてのお客様にも気持ち良く過ごしていただけるような接客を心がけています。常連さんとばかり話していると、初めてのお客様はつまらないでしょうから、その点は特に気をつけています。お客様は家族連れが一番多く、夫婦二人でいらっしゃる方も多いですね。小さなお子様連れの方が電話で「子供を連れて行っても大丈夫ですか」と確認されても、「全然大丈夫ですよ」とお伝えしています。寿司屋では静かに食べなければいけないと気を張ってしまうかもしれませんが、そんなことはありません。賑やかに食べていただきたいです。
おすすめのネタと毎日の市場通い
当店の名物は、まずマグロですね。マグロが主役なので、しっかりと良いものを揃えています。それ以外では、当店でしっかり仕込んだ穴子などは、他店とは違うと自信を持っています。仕入れは横浜の中央市場で行っており、基本的には毎日自分で市場に足を運んでいます。朝6時か6時半頃に市場に向かい、自分の目で見て選んで購入します。市場に行けない時は電話で注文することもありますが、長年の信頼関係があるお店なので「こういうものがほしい」と伝えれば、しっかりと選んで持ってきてくれます。それでも、やはり基本は自分の目で確かめることを大切にしています。
地域とともに歩む老舗の想い
和田町の商店街も時代とともに変化しています。以前は八百屋さんや魚屋さん、肉屋さんなど色々ありましたが、今はなくなってしまい、少し寂しく感じています。娘が小さい頃は、歩けば誰かに声をかけられるような温かい商店街でした。そういうお店さんはなくなりましたが地蔵祭りなどのイベントの際は、多くの人で賑わいます。うちは出店はしていませんが、お店は開けて皆さんをお迎えしています。横浜国立大学が近いこともあり、先生や学生さんもよく来店されます。遠方から学校に来ている学生さんの親御さんが訪れた際に、一緒に来店されることもあり、そんな時は特に嬉しく思います。最後に、地域の皆様へ感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。いつも来ていただき、本当にありがとうございます。三代目の私になる前からずっと来てくださっているお客様もたくさんいらっしゃいます。皆さんから「あなたの次はどうするのか」と心配していただくこともありますが、まずは私自身が頑張りますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。「継続は力なり」という言葉を胸に、大変でも続けていくことで、この地域の皆様に愛される寿司店であり続けたいと思います。
※上記記事は2025年9月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

竹世寿司 山室 貴嗣 代表 (TAKATSUGU YAMAMURO)
竹世寿司 山室 貴嗣 代表 (TAKATSUGU YAMAMURO)
- 出身地:横浜市保土ヶ谷区
- 趣味:ゴルフ、ロードバイク
- 好きな場所:自然豊かな
- 好きな音楽:懐メロ
- 好きな映画:ヒューマンドラマ
- 好きな言葉:継続は力なり

